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2022年6月16日木曜日

異世界の歩き方

前も書きましたが今年はダロワイヨ様からチョコミントケーキが出ないんですよ。私のような負け犬ぼっち女には、誕生月にチョコミントケーキを食べるくらいしか楽しみが無いというのに。悲しい、ああ悲しい。
まぁーでも無いものはしょうがないのと
今年はちょっと別の欲しいものがありまして
買ってしまいましたよ、誕生日プレゼントとして

地球の歩き方 月刊ムーコラボ本!



世界の料理を収めた「地球のかじり方」という本も気になったのですが
サンプルを見る限り「作りやすい分量(6人分)」とかになっていたり、材料がかなり本格的なので
これは作るの無理だなと思いましたので見送りです。
196カ国レシピ本がすでにありますしね。

まだ読破はできていませんが、ムーよりもかなり穏やかな内容になっていて
遺跡や建築物に対して、成り立ちや歴史などが解説されているので
遺跡好きにはわりとたまらない内容になっているのではないかと。
時々ムー知識が挟まっているのでそこはお好みですが。
あとやっぱり世界中がターゲットなので、広く浅くの紹介ではありますね。
個人的には十分楽しいです。

2022年4月6日水曜日

小説火の鳥 大地編を読んだよ

手塚治虫が構想のみを残した火の鳥 大地編。
いつの間にか小説になっていたようなので、読ませていただきました。

著者の桜庭一樹さんはお名前は存じ上げているのですが作品を1つも読んだことがなくて
なので他の桜庭作品と比べてどうなのかと言う比較はできないものの、
おそらく、相当、手塚作品っぽさ意識されたのではないでしょうか。
登場する人物が実に手塚キャラしてるんですよね。

しかしそれゆえに、小説としてはなんていうか……
世界をデフォルメした手塚ワールドをそのまま文字にしたような感じになっていて、ちょっと恥ずかしさみたいなものを感じてしまいますね。
特に川島芳子さんじゅういっさい(物語開始時)の1人称が「おいら」で言動がどろろっぽいところとか…
脳内の悪巧みを全て言葉にして「アーッハッハ」と高笑いをつけないと気がすまない間久部緑郎くんとか…これが1番小説を生かしていない気がする。
原案から一度手塚マンガに変換し、そのマンガを文字起こししたような印象を受けました。
もっと浦沢直樹の「PLUTO」くらい独自の世界でもよかったんじゃないかと思ったり。

内容は、大体19世紀後半から20世紀半ばを舞台としたループもので、日露戦争や第二次世界大戦が背景になっています。
われわれは歴史として結末を知っているので、どうやってその結末に至るのかを描く物語となっております。
ループの仕組み関連で気になる点はあるものの、個人的には楽しく読めました。

だが毒がない。非常にきれいな火の鳥ですね。
火の鳥さん自体もずいぶんおとなしいですし。
登場人物の目の前にチャンスを転がし、調子に乗らせるだけ乗らせた後、すべてを奪って「人間愚かwww(意訳)」で煽り散らかして飛んでいくのが火の鳥さんだと思っているので
今作は、とてつもなく優しいですね。
本家なら三田村は逆鱗に触れて黒こげになってると思いますよ。
著者の他の作品が気になるレベルの心優しさです。基本的にハッピーエンドで終わるのが好きなタイプなのかしら?と思ったり。

2020年12月8日火曜日

「薬屋のひとりごと」を読んだよ

Kindle Unlimitedで9巻無料という大盤振る舞いだったので、読んでしまいました。
9冊もあれば完結しているだろうと思って読み始めてしまいましたが、「物語はいよいよ佳境に!」という感じのところで止まっており、地団駄を踏んでいます。


「薬屋のひとりごと」は、中世中国に似た架空の国
そこの後宮で毒見役を務める薬師の猫猫と、後宮を取りまとめている壬氏とのやり取りがメインの……
ミステリー?いやラブコメ?
毒や薬の知識にへぇと頷きつつ、恋愛事に全く興味のない猫猫と、口に出さないけれど猫猫に思いを寄せる壬氏がすれ違いコントのようなやり取りでイチャコラする様子は
「狼と香辛料」をどことなく髣髴とさせる感じが…
細かく見ると色々違うけれど、なんとなく似た雰囲気がある気がします。

1冊の中で複数の事件が起こり、一見つながりはなさそうに見えるものの
最終的にそれらが結びついて大きな話になる構成なので
アニメ化に向いているんじゃないかしら、アニメ化したら面白そう。

この歳になってくると、アニメやゲームに登場するキャラクターの設定があからさま過ぎて辛いということがあるのですが
「薬屋のひとりごと」は、変態軍師以外は大体落ち着いていて、個性を出すのに「盛ってる」と感じることが無くて良かったですね。
挿絵が入っているためか、読んでいると猫猫が暮らしている高給や花街、工房などの風景が浮かんでくる感じで、繰り返すけどアニメ化に向いてるんじゃないかという気が。
というか、私がアニメでこの話を見たい。

ガラスの仮面や十二国記の新作を待ち続けているので、
続き物はあまり見ないようにしているんですが
またしても続きが気になる作品ができてしまった…はやく…はやく10巻を!

2020年10月1日木曜日

「守り人」シリーズ読破とタンダ解釈違いの話

途中よみかけで放置していた「守り人」シリーズを読破いたしました。
1作目「精霊の守り人」だけでも十分な大作だったのですが
その舞台を「新」ヨゴ皇国にした時点でもう最後の話までできてたんだなと思うと凄まじいものがありますね。

ところで小説を読む時って、キャラクターがどういう見た目なのか想像されますか?
私はしたりしなかったりですが
「精霊の守り人」はアニメ化もされているので、脳内ではアニメ版バルサに変換されて場面が再生されたりしております。

精霊の守り人シリーズは、ハードカバーを偕成社、文庫本が新潮社から出ておりまして
イラストレーターが違うんですよね。
基本的にアニメのキャラクター、および後発の新潮社版カバーイラストも、おおよそ偕成社版を元に作成されているっぽいのですが
タンダとジンがだいぶ改変されてるようでしたね。
偕成社版のタンダは…なんともいい難い特徴の無い素朴な顔と団子っ鼻&天パ。
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これが新潮社版になると、ちょっとしたキロランケのような顔立ちになり、服装からしてもアイヌ意識なんだろうなという感じに変わっております。
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おそらく右下がタンダ。

アニメ版は色黒でお団子ヘア
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私はこっちのタンダを見慣れているので、君たちは誰だ?と首を傾げまくりです。

一方で、獣の奏者がアニメ化したときは、かなり簡素化されたテイストにも関わらず全然違和感無かったので
アニメとして絵が動くというのはインパクト大きいんだなとしみじみ思いました。

来年は鹿の王が映像化されるわけですが
こちらは公式サイトにキャラクターイラストがばっちり載っているので
マコウカンがイケメナイズされる以外はイメージどおりなのかしら。
今から楽しみですわ。

2020年9月29日火曜日

片付けられない女のための今度こそ片付ける技術を読む

どうも掃除のできない人間です。
Prime Readingに入っていて、読みやすそうだったので、読んでしまいました。
漫画形式なので15分もあれば読めます。
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この本もそうなのですが、一般的に「片付けられない」というと、モノに溢れて足の踏み場もない、って感じになるんですかね?
前にもゴミ屋敷の危機なのではとちょっと書いたこともありますが
我が家はそこまで物、多くないんですよね。
物っていうのは、金が無いと買えないですからね。
この本の筆者も、収納用の棚に30万以上使ったと書かれていて
世の中の人ってお金持ってるんだなぁって、しみじみ思いました。
もしかして氷河期の世代だけ特に貧乏で、他の世代は倍くらい給料もらってたりするのでは…

それじゃあ物も無いのに汚いとは何事か?というと
私の場合、床には無いけど机の上は積み上がっております。今見てみたら、製菓材料とか、砂糖、塩、小麦粉、キッチンスケールとか…毎日使うからしまうのめんど…
あと調味料類は買いすぎてしまえる場所がないかもしれない。
そして何よりも掃除ですよ。
片付けではなく、拭き掃除、掃き掃除。
ちょっと油断するとすぐ玉ねぎの皮が床に落ちるし
油断しなくても髪の毛バンバン抜け落ちてるし、
こんなに髪の毛が抜けたら将来ハゲてしまうと涙を流しながら掃除しても掃除してもまだ落ちる髪の毛。
五徳もキッチンもすぐ油汚れやフライパンからログアウトした食材の欠片が散るし
シンクは黒くなるし、
外から土埃でも入ってきてます?ってくらい窓枠に土埃みたいなのが溜まるし
巾木の掃除なんか面倒くさくてもう無理。

そういう意味では、この本はモノにあふれるものの片付けの方法は丁寧に書いてたけど
お掃除については苦戦している様子もなく
キッチンの油汚れが重曹だけですっきり落ちてたりするのを見て
我が家との違いにがっかりしたりするのでした。
うちの油汚れそんなにすぐ落ちないよ。
196カ国レシピを動画で撮影しようかと思ったこともありましたが
五徳が汚いせいで断念ですからね。
きれいなキッチンほしいわぁ。

などと言っても、この本を読んで、とりあえず机の上にあるものをいくつか捨てて見ました。
例えばこれ、前の会社でたぶん誰かからもらった可愛いひよこのノート……あれこんなに汚れてた?って思うのね、ずっと机のかたすみにあって見もしなかったから、水とかこぼしてたんでしょうね。
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こういう本、いいきっかけになるので、また汚れ始めたら読もう…汚さないのが一番だけど。

2020年8月17日月曜日

将棋界にプロ編入制度を作った一人のアマチュアがいた「泣き虫しょったんの奇跡」

リアルタイムでアニメ遊戯王の2作目を見ていた時は、あまりピンとこなくて途中で挫折したんですが
それから数年後、再放送で改めてGXを見た時に「何だこの面白い話は!」と驚きましてね。
デュエルは勝負であり、勝者と敗者、強者と弱者が生まれるわけですが
登場キャラクターがそれぞれに身を置きながらデュエルと自分との関わり方、デュエルを通して自分の存在を確かにしていく話でして
ジュブナイルですよね。遊戯王GXってジュブナイルだったのかと。

この本を読みながらそんなことを思い出しました。
泣き虫しょったんの奇跡
泣き虫しょったんの奇跡 完全版 サラリーマンから将棋のプロへ (講談社文庫) - 瀬川晶司

将棋の本なのでデュエルに例えるのは物議を醸しそうですが
将棋が楽しい、将棋大好きだった少年が、奨励会に入って、指したい手ではなく勝つための将棋を指すようになり、再び「指したい手を指す」という心境に至るところとか
純粋にデュエル大好き少年だった十代が、紆余曲折を経て最後にやっぱり「楽しいデュエルだった」と言うのとものすごく被って見えるんですよね。

こんな少年漫画のような展開があるのかと、一気に読み切ってしまいました。
映画化待ったなしと思ったらやっぱり映画化もされていたようです。

泣き虫しょったんの奇跡は、26歳の年齢制限で奨励会を退会となった著者が、アマチュア将棋で活躍し、対プロ戦で好成績をおさめたことから
将棋連盟にプロ編入の嘆願書を送り
61年ぶり、戦後としては初のアマチュアからプロ棋士となった瀬川晶司六段の物語です。

小学生の時、瀬川氏は恩師と出会うのですが
恩師も瀬川氏と同じく、一度は教師の夢を諦めたものの、諦めきれずに35歳で教師の夢を叶えた先生。
それまで自分らしさを持てなかった瀬川氏が、恩師に褒められることで自分を見つける話は感動ひとしおです。
1章から泣かせに来ている。

アマチュア大会で優勝して、奨励会に入会。
そこで「勝つための指し方」があることを知り、勝つために将棋を指すようになってゆきます。
が、年齢制限の壁も見えてきて逆にどんどん勝てなくなっていき、
奨励会を退会し、将棋から離れるものの、
やっぱり将棋からは離れられずにアマチュア大会に出て、改めて将棋が好きで、指したい手を指すために将棋をやっているのだと感じる流れがもう完全に少年漫画の世界です。

プロ編入は瀬川氏だけの特例ではなく、瀬川氏の行動は将棋界に「プロ編入制度」自体を生み出しました。
それでもやっぱり瀬川氏は勝者側の人で、
作中、「プロ間違いなし」と称された才能がちらっと登場するのですが
その才能は三段リーグを抜けることができず、制度ができた後のプロ編入試験も越えられておりません。
そしてそういう才能が本になることは滅多に無いわけで…
諦めなければ、夢は叶う。という言葉は
叶えた人しか言えないのだと改めて思いますね。
人生ってしんどい。
それでもこの手の話はどうしても惹かれてしまいますよね。


2020年5月26日火曜日

オリンピア・キュクロス衝動買い

たまたま開いたAmazonで、オリンピア・キュクロスのアニメ…のような何かを見てしまいまして
うっかり漫画も買ってしまいました。
正直、映像を見る限り原作欲しいとは思わなかったんですけど
1話試し読みしたらやっぱりめちゃくちゃ面白くてですね、つい。
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私は東京オリンピック非歓迎、もといスポーツイベントには良いイメージがなく
オリンピア・キュクロスを見たときには、ついに東京オリンピックのステマもここまで来たかとがっかりした気持ちになったんですけど
いざ読んでみると思ってたのの真逆、むしろ現代オリンピックの批判も含めた作品でした。


テルマエ・ロマエと比較すると、ルシウスがひたすら風呂を追求していた前作に対し、今作では人が表現することがテーマになっているような流れ。
主人公のデメトリオスは壺絵師で、絵を書くことが大好きなのに絵が下手。
一方で運動神経が抜群に良く、
自分に合っているオリンピック選手の道か、
自分が好きな絵の道か、
どちらを歩けばいいかを迷っている感じ。

デメトリオスの村の村長は、村の権威を上げることに執心していて
描きたい絵ではなく売れる絵を描け、
オリンピックも、名をあげるために出場しろ、と言うばかり
絵画も運動も、自分を表現するためのもので、権威やお金のためのものではないはずなのに…と、葛藤するデメトリオス。

……って、
作者のヤマザキマリさんて、生活のために漫画描き始めたかたではなかったかしら?
絵も音楽もなんでも、お金や権威や名誉のため「だけ」にやるのは本質を損なうけれど
お金がないとやっていけないという側面もあり
いつか作者のその手の話が入るのではないかと、今から心待ちにしております。

あと前作と比較すると、
言葉の壁とか文化の壁に驚くくだりはわりとカットされていて
現代から古代アテネにタイムスリップしてきた人も「実はギリシャ語喋れるんです」という設定が突然出てくるとか
タイムスリップも実に都合のいいタイミングだったり
多少都合のいい展開になっています。
ただ、そこを丁寧にやり始めるとテルマエ・ロマエと重複するし、この物語がやりたいのはそこじゃないと思うので
これでいいのかなと、慣れてくるとむしろ楽しい。

しかしこれ、2020東京オリンピックがコロナで延期されてしまったので、果たして今後どうなるのかなと。
私にも東京オリンピックを楽しみにする理由ができてしまいました。
というか、東京オリンピックのあとに描かれるオリンピア・キュクロスが楽しみ。
『オリンピア・キュクロス』スペシャルムービー

2020年3月25日水曜日

システム障害はなぜ起きたか

みずほ三度目の正直を読む前に、原点に戻ってみました。
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最初のシステム障害発生から間もない時期に出た本です。
以前読んだ時はまだ意識が高い時期だったので
「この失敗を私の糧に」とかなんとか思いながら読み
「無理ゲーだ」という感想で締めくくった記憶があるのですが

2回読んでも個人がどうこうできる問題では無さそうなんですよね。
でも2回目で新たな気づきも得ました。
この本ですら派閥問題から逃げられていないのだという事に。


みずほ銀行第1回システムトラブルの原因を…まあ色々あるけれど
①ITに無関心な経営陣が現場に丸投げした
②SIerとなるべきベンダーが自社製品の売り込みに終始した
の大きく2点が挙げられております。

銀行統合によりさくら銀行、東京銀行を失い、第一勧銀を失うととピンチになる富士通。
内々で、勘定系は富士通で行く話が出たものの
経営陣は明確に決定せず下に丸投げしたので、
「富士銀行と第一勧銀のシステム機能比較の会」が延々と開かれ、
4千万円かけて「有意な差なし」との結論を出す始末。

この機能比較は富士銀と興銀に溝を残し、
これ以降も本には、おそらく想像と思われるけれど銀行同士の縄張り争い

改めて読むと、この本はわりと興銀を悪者として書いているなという印象が。
それが正しいのかどうかはわからないけれど、
情報提供者が富士銀行関係者だったんだろうな。っていうのは想像できます。

また対比として、合併に成功した北洋銀行、東京三菱銀行(当時)のエピソードが掲載されています。
ただこの2行は、特殊銀行だったり、口座数の問題上
片方のシステムを選ぶことがどう考えても合理的だったので
比較するのは少し可哀想というか、
むしろなんでみずほは統合しようと思ったの?と聞きたくなるというか。

当時のあれこれを思い出して懐かしくなる1冊でした。
18年前かぁ。(遠い目)


2020年2月25日火曜日

シャーロック・ホームズ女性化小説を読む

シャーロック・ホームズを現代版にして、さらに登場人物を男女逆転させた本
「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」
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突然ですが、私はゲーマーではありますが、いわゆる乙女ゲーって好きじゃないんですよ。
一体何がそんなに気に入らないのか、以前考えたことがあるんですが
主人公と考え方が合わず、著しい違和感を感じるのだという結論に至りました。
何事にも一生懸命で、まっすぐで、元気で、ちょっとドジな可愛い子で、恋愛脳な奴。

ねーわ、ねーわ。

ちなみにこれの少年主人公版、
熱血で、元気で、バカで、筋力と根性だけで生きてて議論が煮詰まってくると「あーうっせー」とか言いながら考えなしに行動したら主人公補正で成功しちゃうような奴も同じくらい嫌いでして、

要するにこういうテンプレ臭を感じるものに辟易するんですよね。


プロローグを見て、ワトソンがめちゃくちゃテンプレ女子っぽく感じたので吐き気をもよおしかけたのですが
突然死体安置所で眠りだしたところで評価が変わりました。
しかもそこでちょうどホームズ登場。

このホームズさんは、何でもできるスーパー美女お嬢様なんですが
ホームズが出てくると個性の薄いワトソンが良い感じにはまってきて、
わりとポジティブな性格ながら、時々アフガン戦地の生々しい話がさらっと入ってきたりして
テンプレチャラ女との認識から、鋼メンタル女に変わっていき、曲者ぞろいの中に輝く凡人として愛着もわいてきます。


ストーリーはやや荒唐無稽なんですが
私はこういう、「こまけーこたーいいんだよ」と勢いよく乗り切るタイプの話は結構好きでして

全体的にラノベみたいな軽さを感じるものの
設定を活用するのが上手い作家さんだなと思いまして
不要な設定があんまり無いんですよね。

ワトソンが冒頭から生理になってるのも、ホームズの心臓が悪いのも
そう来るか。という方向で活用してくる。
さらにはモリアーティとホームズに明確な接点があって
それが最後の最後で明かされるんですが
その最後が一番楽しかったまである。
これは続編が見たいやつ。

なお、ホームズとモリアーティについては「女優の〇〇に似ている」と言及することで、イメージしている女優さんが登場しますが
モリアーティはメリル・ストリープだそうです。

わかる!!!!!!
これは続編も読む、決定。

2020年2月7日金曜日

呪いの言葉の解きかた

勤め先企業のブラックさを嘆くと「嫌なら辞めればいい」
と言われる様子を時々目にします。
問題は、ブラックと呼ばれる体質とか、それを強いる経営者のほうにあるのに、
それに対しての抗議を「文句」と表現し、嫌なら辞めろと言う。

こういった、相手が設定した思考の枠組みにはまる言葉を「呪いの言葉」と定義したのがこちらの本。
呪いの言葉の解きかた - 充子, 上西

「解きかた」とありますが、ノウハウというより
労働、政治、ジェンダーなど、様々な局面でよく見かける実際の呪いの言葉事例集のような感じです。

この本の始まりはTwitterらしく、
今でもTwitterで#呪いの言葉の解き方 を検索すると、色々なツイートが検索できるのですが
そこはやはり玉石混合というか、広告や荒らしのようなゴミまで混じっているので
まとめたものを読みたい場合は本のほうがやっぱりいいですかね。


相手の土俵で戦ってはいけないのは当然なのですが
日常だとつい忘れてしまいがち。
さくっと読める本なので、時々でもパラパラと見返すと
そういえば最近…みたいなことに気付けるのかもしれない。

2019年12月10日火曜日

鹿の王 水底の橋

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「鹿の王」の外伝というか後日譚というか。
主人公の一人ホッサルを巡る話になります。
鹿の王を読んだのも結構前で、男やもめ中年で監獄スタートのヴァンと比べて、ホッサルは若くてイケメンエリートな印象があったんですが
改めて読んでみるとアラサーで口が悪くて「俺いい男」(意訳)と言ってしまうキャラで、義姉が好きなのに恋人もいて
あれこんな人だっけ?
と、記憶を呼び戻すのが大変でした。
口は悪かったような気がする。

「水底の橋」にはふたつの医術が登場します。
医術でありつつ宗教でもある清心教と、
優れた医術をもっていながら被征服者となり立場が悪いオタワル医術。

オタワル医術はある事件をきっかけに王侯貴族から一目置かれるようになるのですが、それが面白くないのが清心教。
これだけ書くと清心教は非常に悪者じみてるんですが、
国民感情に沿った医療を施しているのもまた清心教のほうで
単にどちらが優れているかという話ではなく、
QOLや家族のケアも含めた大きな話になっています。

一方で、オタワル貴族の末裔として貴族と結婚し子孫を残さなければいけないホッサル。
彼にはミラルという恋人がいるんですが彼女は平民で、身分の違いから結婚は不可能。
別れられずにずるずると関係を続けているホッサルに、ついに決断の時がやってきて…みたいな話にもなってます。

タイトルになっている「水底の橋」は、ミラルの父が話す内容に登場して、
途中、水底の橋ってそういう事か。と大いに頷き、
結末を予想してセンチメンタルな気分に浸ったりするんですが
そう単純な話に終わるでもなく、
予想外の事件が起きて予想外の方向に転がっていきました。


権力争い、医療と人とのかかわり、ホッサルさんの個人的な事情。
この3つが絶妙にまとまっています。
そんなに長い本じゃないんですよ。
なんで1冊に収まっているのか、いまだに不思議です。

あ、そうそう。YA向けの大きな活字、大変読みやすくて良いです。
小さい活字が読めるようになったら大人だなとか思ってましたが
そんな大人の期間は速攻で折り返しになりましたね。
ローガン万歳。

2019年11月19日火曜日

十二国記「白銀の墟 玄の月」読了したのでネタバレ感想

十二国記の新作を読み終わって、とりあえず「魔性の子」からもう一度読み返し始めました。
事前に予習してなかったので、新作読んでる最中、過去作を読みたくて読みたくて仕方なかった…


以下、ネタバレありなのでご注意ください
白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)


泰麒がひたすらかっこよかった……
泰麒が十二国に居たのはたった1年で、蓬莱では学生ですから、
国家運営のなんたるかを蓬莱で学ぶ機会は無かったと思うんですが、何十年、あるいは何百年と王宮で仙をやってきた人達に対して理を説けるという明晰っぷり。

おまけに計略を駆使して朝廷を牛耳っていくし、
意思の力でいろいろねじ伏せるし、殺生を嫌うはずなのに人を刺していくし。
麒麟の大前提が覆されたと言っても過言ではない。


一方で、煮え切らなさも残る話だったと思いました。
明言されていない謎がいくつか残ってしまっていたので。
特に琅燦。
阿選が言うには彼女こそ簒奪をそそのかした人物である一方で、玄管として民を助けてもいたらしく、
最終的には「敵ではない」と言われるものの、戴の悲劇を引き起こした張本人の一人であるわけで
こいつは何がしたかったんだ?と大いに疑問です。

あと妖魔のせいでどれだけの人が廃人になったかを思うと
心情的に受け入れがたいので、納得させてほしいという気持ちがどうしても。
恵棟を返してくれ。


あと終盤に向かうにつれて、残りのページ数が少なすぎてハラハラしました。
削って削って4冊になったとインタビューでは仰ってましたが
終盤もう少し手厚くしていただけたら…
項梁がすっかりフェードアウトしていたし、
肝心の驍宗vs阿選の決着が本編にないのも少し残念だったし…
こっちは「月の影 影の海」でも景麒を助けるところで終わっているので伝統なのかもしれない。
会ったら二人はどういう話をしたんでしょうね。
でも多分驍宗が直接阿選を討つ機会は無かったんだろうな。


この4冊分の物語が歴史書数行にまとめられているところもシリーズ伝統ですが、
極端に俯瞰されることで、十二国の歴史のほんの一部に過ぎないことが強調される気がします。
十二国記で後日譚が書かれることはあまり多くないのですが
その後、気になりますよ。
100年…せめて10年後くらいの慶や戴を見たいです。

2019年9月25日水曜日

歴史をつくった洋菓子たち

歴史をつくった洋菓子たち―キリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで
歴史をつくった洋菓子たち―キリスト教、シェイクスピアからナポレオンまで

歴史の中で洋菓子が果たした役割みたいなエピソードを期待していたのですが、
どちらかと言えば「洋菓子の歴史」。
とりわけ、洋菓子の誕生とネーミングの信憑性を議論する本でした。

食べ物の発祥を巡る議論は最近もティラミスとかロールケーキとかで見かけたので、
昔からある話だったんだなぁってしみじみ思いますね。
うどんも話題になったしね。


お菓子に限らず、有名になればなるほど、ドラマチックな誕生秘話が好まれる傾向があります。
例えば王侯貴族が一度食べて絶賛したとか
敵国との争いの中で手柄を立てたとか
また、天才パティシエが考案したメニューだとか
後世になって紐づけられるケースが非常に多いようで。

そういうのを全て信じて行くと、14歳の天才少年料理人が王族の前で新作料理を披露したとか
天才パティシエが生まれる前にケーキを作ったとか
そんな話になってしまうようです。

かといって、洋菓子に関して詳細な歴史を記した本は少なく、
エビデンスを伴う反論をするのも難しい状況のようです。
そういったエピソードは、話半分で聞いたほうが良さそうですね。

とはいえ、売上に響く売り手側にとっては、話半分とは言えない真剣な話なのは確か。
そのために何十年も裁判で争うケースもあり、
有名なお菓子ザッハトルテは2度も裁判沙汰になっているんだとか。

たかがお菓子、されどお菓子、恐ろしい…。
まあお金が絡むと恐ろしくもなりますね。

2019年8月14日水曜日

幸せになれるのは「今」しかない?100分de名著「自省録」

kindle版が安売りしていた時に買ってしまいました。
マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年4月 (100分 de 名著)
マルクス・アウレリウス『自省録』 2019年4月 (100分 de 名著)
「自省録」はローマ皇帝マルクス・アウレリウスが記した哲学書というか、日記というか、名言集というか。

100分de名著は「自省録」から抜粋・解説をしたダイジェスト版のようなもので、「プロの解説付きだと理解しやすい」を地で行くシリーズだと思います。
この本の解説はアドラー心理学の専門家。
なのでアドラー心理学もからめての解説が多めでした。


ところで私、若い頃哲学って大嫌いだったんですよ。
それもこれも全部高校の時の授業が悪いんですけどね。
誰が何と言ったか、という暗記問題だったんですよ、全部。
で、意味も分からず「○○は万物の根源は水であると言った」と教えられたすぐ後に「○○は万物の根源は火であると言った」と言われて

何言ってんのこいつら?

としか思えませんでした。


哲学が幸せを考える学問だって、せめてあと10年早く知っていたら…!
と、悔やむばかりです。

過ぎてしまった過去を今から幸せにすることはできない。
まだ来ていない未来を今幸せにすることはできない。
よって、幸せになれるのは「今」しかない。
では今を幸せにするためにどうすればいいのか…?


しかしこの手の本って大体どれも同じことを書いてるんですよね。
心を平穏に保ち、
己の無知を自覚し、
他人に対して敬意を愛を持ち、
己の意識や見方を変え、
明日死ぬつもりで精一杯生きろ
それを今すぐやれ
みたいな感じの。

ついでに言うなら大体どこの宗教も隣人愛とか無欲とか似たような事を解いてます。
1900年前から人生を幸せに生きるための指針に回答があり、ブレてないはずなのに、何故人類は未だに幸せになれないんでしょうね。
本当にこの方向性で合ってるのかな?


あと時々こういった話に登場する無欲の境地は少し共感できないです。
こちらの本では、将来得られる予定のものは、まだ得られていないのだから失いようがない…といったような事が書かれております。
そうは言っても現代、大企業の正社員になれば(昔ほどではないとはいえ)それなりの給与を貰って人生安定する事を期待するし
いい大学に入れば大企業に入る確率が高くなる事を期待するし
そのためにいい高校、もしかしたら中学受験などなど、
辛くて苦しいお勉強をするのはこれら諸々の将来のためだと言い聞かせるわけじゃないですか。

なんらかの理由で未来が断たれて、得るはずだったものが得られないと考える事さえ捨てろというのは、
かなり無茶に聞こえます。
とはいえ、無理だったものはさっさと諦めて次に行く以外に本人が救われる道が無いのもまた確かなんですよね。
いつまでも自分が被害者だと思ってたらいつまでも不幸のままです。
あとは、そんな簡単に割り切れるか?って話なんですけど


あーやっぱりいやだわ、哲学。
痛い所を突いてくるから、怖いわ。
人生1回はがっつり向き合わなければならないんでしょうけれど。

私はチョコミントアイスを食べて「わー人生最大の幸せ!」とか言えるくらい浅い人生がいいです。

2019年8月8日木曜日

ワークライフバランスに悩む特殊部隊「ジェファーソンの密約」感想

シグマフォース隊員は出産・育児・介護に忙しい。
敵との緊張感あふれるやりとりをしている中、認知症の父が大変というSOSも入って父と電話する隊員。
司令官はさっさと現場に飛び出して、司令官代理を任されているのはいつ生まれてもおかしくない妊婦。

これが、ダイバーシティ…!


アメリカ人は家族を大切にするとは聞きますが、
それでも今までは、こういった個人的な事情を抱えるキャラクターってあまり見かけませんでした。
私も全ての物語を読んでるわけじゃないので、探せば介護に悩むヒーローは居るんだろうけど
マーベルキャラを例にしても結構親の死亡率高いし、兄弟の話も触れない場合が多い。
実子が居るキャラは居るのかな?
まあヒーローものはそういうの忘れて観たいって気持ちも分かる。

なお悪役にも同じ法則が当てはまって、
世界を滅ぼそうとしているその時に母から電話が来て「父さんが倒れたからすぐ病院に来い」とか言われたらギャグですよ。

世界レベルで何かやるには孤独じゃないとやってられないのかもしれない。


そこにきて、ギャグではなく個人の事情を入れてきたシグマフォース
改めて凄いと思う訳ですよ。
シグマフォース シリーズ⑥ ジェファーソンの密約 上 (竹書房文庫)
シグマフォース シリーズ⑥ ジェファーソンの密約 上 (竹書房文庫)


まあ、ようやく山場の交渉が終わったと思ったら留守電が入ってて認知症の父が大変とか聞かされると
別のメンタルが削られてぐったりしますけどね。
アメリカ建国に隠された謎は自分と全く関わりの無い世界ですが
そこから突然、自分の身にも降りかかるかもしれない親の介護問題を突きつけられるんですから、結構来るものがあります。

うわー現実帰ってきたーって感じ。


これが嫌な人もいるかもしれませんが、私は好きです。
グレイの父に関しては、「ユダの覚醒」で退場のチャンスがありました。
ギルドに病気の父を殺され復讐に燃えるグレイ!
みたいな展開だってできたはずなのに、
その道を避けて認知症が進行した父と共存しているわけですから

このままワークライフバランスをいかに取るかを見せていただきたいですね。
働き方改革は特殊部隊から!


肝心の本筋についての感想何も無かった。
今作では日本人物理学者とスーパーカミオカンデが登場します。
海外の人が書いたJAPANではなく、違和感なく読めるあたり凄いと思います。
まあ研究所内に枯山水があるのはJAPANっぽいですが、そのくらいはね。

2019年7月26日金曜日

小説「パイの物語」を読んだ感想

映画版と結構違いますね。
映画版についてはこちらでうだうだ書いてます。
パイの物語(上) (竹書房文庫)
パイの物語(上) (竹書房文庫)

違いを挙げると
・映画版だと彼女ができているのに小説版には居ない
・「宗教は闇」と発言をする人が異なっている
・子供の頃、リチャード・パーカーに知性を感じるシーンが小説版には無い
・食堂のシーンが無い
・パイが航海の途中で人と出会う
・立ち寄る島の数が違う(小説1:映画2)


彼女のシーンとリチャード・パーカーに知性を感じるシーンは
伏線だったり、パイが気になっている事の暗示だったりするので
これが無いのは結構な驚きです。
映画版はこういった作品を引き締めるための要素があって良かった。
いや、そんな理由なんかどうでもよくて、私はあの映画が好きだから贔屓してしまうんです。
映画版好き。


なお、映画版のコックは怒鳴り散らすオッサンだったのですが
小説版では「綺麗な顔」と言及があり
人畜無害そうなコックが…版も見てみたいかもと思ったり。


一番大きく違ったのは菜食主義の描かれ方のような気がします。

主人公パイは菜食主義者(ヒンドゥー教はわりと菜食主義)なのですが
小説版は、菜食主義の理由も突然出て来た反捕鯨も、現代西洋人の思想なんですよね。
「痛覚のある動物を食べてしまった」という、動物可哀想思想なんです。

インドの菜食主義は、動物の血を「穢れ」とみる思想から来ており
乳製品はOKな場合が多く、神像に牛乳をかけて祝福したりしています。
パイも作中で多数のヨーグルト料理やアイスクリームを食べたいと言っています。
その割に非常食ビスケットに動物性油脂が使われているのを嫌がったりしててよく分からない…(インドでは動物性油脂のギーが大変メジャーで料理からお菓子まで使われている)

まあ私にはヴィーガンのルールは分からないですし
パイはそういう思想なんだろうと丸呑みすることで蓋をすることができますが、
映画はその辺の思想を明言していなかったので好きなように解釈できました。

最初に出会ったものを気に入ってしまう現象なのかもしれませんが
私は映画のほうが好きですね。

2019年7月17日水曜日

シグマフォースシリーズ「ケルトの封印」感想

ケルトの封印 上 (竹書房文庫)
ケルトの封印 上 (竹書房文庫)
ラングドンシリーズがボンドガールよろしく毎回女性を変えてくるし
「ウバールの悪魔」「マギの聖骨」「ナチの亡霊」までは新しい女性が登場していたので
作品ごとに女をとっかえひっかえする系かと思っていたのですが

まさかの1作目ヒロイン、レイチェルとの復縁。

とはいえ、グレイは前作でいい感じになったセイチャンも捨てきれていないようで
今日も世界がピンチなのに愛だ恋だと忙しいようです。


今作は、遺伝子組み換え食品と人口爆発について。
人口爆発は「インフェルノ」でも登場したテーマで、地球上の人類が増えすぎて食糧とかヤバいという問題が挙げられています。
私も日本では生産性のないクソゴミですが、
世界レベルで考えると人口減少に貢献している人になるようです。

で、増えすぎた人口を制御するため、不妊因子を組み込んだ生物を作り、第三国にばら撒こうとする企業。
今回はそこが悪役なのかと思いきや、そこにギルドが絡んできてまたややこしい事になってます。

未知の集団だったギルドの情報が、今作では少しだけ明らかに…


ちなみに遺伝子組み換え食品を使っているかどうかは
商品の原材料のところに(遺伝子組み換えでない)と書いてあるわけですが
あれはあくまでも取れた畑が「遺伝子組み換えでない用畑」なので(※アメリカでの話)
遠くから遺伝子組み換え作物の花粉が飛散するのは誰も止められないんだよ。


ってくだりはものすごく納得してしまいました。
ですよねー。


最近ではスギ花粉に強くなる遺伝子組み換え米の話も聞きますし
私はどちらかというと食べてみたいほうですね。
さすがに今からコーディネーターにはなれないかもしれないけど
やせる米とか頭がよくなる米とかあったら
食べてみたいですけどね。


2019年7月9日火曜日

2行でも読書!「精神科医が教える 良質読書」

実況プレイ解説が抜群だった精神科医さんの本、2冊目。
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私調べでは、頭の良い人ってものすごい集中力の持ち主です。
何やらせてもすぐ上達するし、すぐ極める。
何故なら1日10時間とかぶっ続けでやってるから。
みたいな。

が、精神科医名越さんはそうではないと。
むしろ集中力が続かず、10分読書すると飽きてしまうと。
私にとってはかなり天地逆レベルの衝撃でした。
いやいやそうは言っても、読書が嫌いだから集中しないだけで、きっと勉強はおできになるんでしょう?
と、持論に固辞したくなりますけどね。

この本は、読書嫌いが勧める読書方法という点でとても革新的です。
1冊の本だけに拘る必要はない。
2行読んでも立派な読書。っていうか難しい本はそんなスラスラ読めない。偉い人もそう言ってる。
「分かった気になる」でいい。
などなど、
今までそれでいいって言ってくれた人いた?
って事が書かれていました。

私、岩波文庫だけはどうしても読めないのですが
2行で良いと言われると読んでみようかなと思いますよね。


また著者が言う、複数の本を読み進める方法で理解が深まるというのは
私も経験があります。
ひとつの本を読み進めるほうが向いている人もいれば、
あちこちの本を読むとある瞬間に知識がつながって理解ができる人もいると。

もとから本をたくさん読む人が薦める読書法のようには読みすすめられないという人にとっては
別視点からの読書法となってよいのではないかと思われます。
自分に合う方法を見つけるためにも、こういう本はいろいろ読み散らかさないとね。

2019年6月27日木曜日

シグマフォースシリーズ「ロマの血脈」感想

今作は、ロシアのチェルノブイリとジプシーに関する物語。
ロマの血脈【上下合本版】 シグマフォースシリーズ (竹書房文庫)
ロマの血脈【上下合本版】 シグマフォースシリーズ (竹書房文庫)
シグマフォースの生みの親である博士が、グレイの目の前で射殺されるところから始まり、
謎の少女を連れた老人がアメリカを訪れるシーン、
そしてもう一つの場所ではある男が目を覚まして、謎の子供たちに助けを請われる。
そしてロシアの大統領の座を狙う政治家がいる。


ちょっと話がばらけているかな。という印象でした。
最終的にはこれらが一つにまとまるのですが、今回はいつもに増して登場人物が多く、敵味方が複雑になっています。
人物相関図が欲しい。
あったら即ネタバレなのが悩ましいのですが。


他の作品は途中から読んでも大丈夫なようにできていますが
この作品に限って言えば、前もって「ユダの覚醒」を読んでおく事をお勧めします。


今作から、登場人物の容姿の描写が増えました。
ペインターのみ、アメリカ先住民系に青い目、黒髪と記載がありましたが、他の登場人物に関してはあまり記述がありませんでした。

私の勝手なイメージでは、グレイは完全に「キングスマン」のタロン・エガートンで髪色は金髪だと思っていたのですが、黒髪とのこと。

リサはアンジェリーナ・ジョリー、というか彼女が演じるララ・クロフトのような前髪オールバックポニーテール(映画のララ・クロフトは三つ編みだけど)なところまで想像していたのですが、リサは金髪。
完全にアンジーのイメージ崩れた、想像できない。

モンクはモヒカンと記載があったりスキンヘッドと書かれていたり、ちょっとイメージしにくかったのですが、FF7のバレットのような大男で、黒人の可能性だってあるぞ?
とか思ってたんですが
身長160cm!と驚きの記述。
アメリカ人男性にしてはかなり小柄では。
あとモンクに至ってはこの本で顔が出てきます。
バレットじゃなかったー

キャットは「キル・ビル」のユマ・サーマン、髪型は金髪おかっぱ。と思ったけど彼女は鳶色の髪。髪の長さは不明。

あとペインターも、そして「マギの聖骨」に出てくるラウルも「肩まで伸びた髪」と書かれているんですが
男性で肩まで伸びた髪ってどんな髪型だろう?
塔矢アキラかキグナス氷河しか想像できません。
映画化になるみたいなのでそれを待つしかないですかね。
ただ「マギの聖骨」の映画ならペインターが出てくるかどうかは怪しいですが。


2019年6月19日水曜日

名画と解剖学 『マダムX』にはなぜ鎖骨がないのか?

名画と解剖学 『マダムX』にはなぜ鎖骨がないのか?
名画と解剖学 『マダムX』にはなぜ鎖骨がないのか?
絵画の鑑賞は、一つの謎解きである。

芸術家は、ときに意識的あるいは無意識的に
モデルの病を描写し、
ときに解剖学の知識を利用して
作品に特別の意味を込める。

商品紹介より


私が絵画を見に行けるようになったのも、絵画は疑問を持ちながらみるものだと知ったおかげでした。
それを教えてくれたのはダ・ヴィンチ・コードでしたけどね!
謎解き、という言葉で表現されるのはなるほど納得。
絵画とは謎解きですって!


中身は西洋画と彫刻が半々、葛飾北斎だけ日本画で参戦してます。
この本をみると、写実的ではないと言われがちな日本画といえど
解剖学に忠実に描かれている事がわかり、
巨匠と言われる画家ほど実に正確に骨や筋、さらには見えない内蔵まできっちり描いているのがわかります。

肝臓の位置を一番正確に描いたのは誰かというトピックスは、
凄いを通り越して背筋が冷えました。
この肝臓の話は、ギリシャ神話のプロメテウスの絵です。
20190619.jpg
プロメテウスは人類に火を与えた罰として、カラスに毎日肝臓を食べられる刑に処せられるのですが
哺乳類の臓器は普通失われたら戻らないのに
肝臓だけは例外的に、しかも結構早く再生するらしく
古代ギリシャ人は肝臓の再生能力を知っていたのだと。

一体どうやって知ったのか?

そしてこのモチーフの絵は何点かあるものの、
肝臓の位置を性格に描写できている画家は一人だけ。(※本に掲載されているものの中では)

やはり巨匠と呼ばれる画家はすんごいのね。
と、思えるエピソードでした。


骨や筋肉の話も多くて謎解き関係なくない?と思うコンテンツも結構あるけど
サクサク読めるし興味深い本でした。
でも今年は美術館に行く予定はないかな…

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