2022年4月6日水曜日

小説火の鳥 大地編を読んだよ

手塚治虫が構想のみを残した火の鳥 大地編。
いつの間にか小説になっていたようなので、読ませていただきました。

著者の桜庭一樹さんはお名前は存じ上げているのですが作品を1つも読んだことがなくて
なので他の桜庭作品と比べてどうなのかと言う比較はできないものの、
おそらく、相当、手塚作品っぽさ意識されたのではないでしょうか。
登場する人物が実に手塚キャラしてるんですよね。

しかしそれゆえに、小説としてはなんていうか……
世界をデフォルメした手塚ワールドをそのまま文字にしたような感じになっていて、ちょっと恥ずかしさみたいなものを感じてしまいますね。
特に川島芳子さんじゅういっさい(物語開始時)の1人称が「おいら」で言動がどろろっぽいところとか…
脳内の悪巧みを全て言葉にして「アーッハッハ」と高笑いをつけないと気がすまない間久部緑郎くんとか…これが1番小説を生かしていない気がする。
原案から一度手塚マンガに変換し、そのマンガを文字起こししたような印象を受けました。
もっと浦沢直樹の「PLUTO」くらい独自の世界でもよかったんじゃないかと思ったり。

内容は、大体19世紀後半から20世紀半ばを舞台としたループもので、日露戦争や第二次世界大戦が背景になっています。
われわれは歴史として結末を知っているので、どうやってその結末に至るのかを描く物語となっております。
ループの仕組み関連で気になる点はあるものの、個人的には楽しく読めました。

だが毒がない。非常にきれいな火の鳥ですね。
火の鳥さん自体もずいぶんおとなしいですし。
登場人物の目の前にチャンスを転がし、調子に乗らせるだけ乗らせた後、すべてを奪って「人間愚かwww(意訳)」で煽り散らかして飛んでいくのが火の鳥さんだと思っているので
今作は、とてつもなく優しいですね。
本家なら三田村は逆鱗に触れて黒こげになってると思いますよ。
著者の他の作品が気になるレベルの心優しさです。基本的にハッピーエンドで終わるのが好きなタイプなのかしら?と思ったり。

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