2019年12月10日火曜日

鹿の王 水底の橋

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「鹿の王」の外伝というか後日譚というか。
主人公の一人ホッサルを巡る話になります。
鹿の王を読んだのも結構前で、男やもめ中年で監獄スタートのヴァンと比べて、ホッサルは若くてイケメンエリートな印象があったんですが
改めて読んでみるとアラサーで口が悪くて「俺いい男」(意訳)と言ってしまうキャラで、義姉が好きなのに恋人もいて
あれこんな人だっけ?
と、記憶を呼び戻すのが大変でした。
口は悪かったような気がする。

「水底の橋」にはふたつの医術が登場します。
医術でありつつ宗教でもある清心教と、
優れた医術をもっていながら被征服者となり立場が悪いオタワル医術。

オタワル医術はある事件をきっかけに王侯貴族から一目置かれるようになるのですが、それが面白くないのが清心教。
これだけ書くと清心教は非常に悪者じみてるんですが、
国民感情に沿った医療を施しているのもまた清心教のほうで
単にどちらが優れているかという話ではなく、
QOLや家族のケアも含めた大きな話になっています。

一方で、オタワル貴族の末裔として貴族と結婚し子孫を残さなければいけないホッサル。
彼にはミラルという恋人がいるんですが彼女は平民で、身分の違いから結婚は不可能。
別れられずにずるずると関係を続けているホッサルに、ついに決断の時がやってきて…みたいな話にもなってます。

タイトルになっている「水底の橋」は、ミラルの父が話す内容に登場して、
途中、水底の橋ってそういう事か。と大いに頷き、
結末を予想してセンチメンタルな気分に浸ったりするんですが
そう単純な話に終わるでもなく、
予想外の事件が起きて予想外の方向に転がっていきました。


権力争い、医療と人とのかかわり、ホッサルさんの個人的な事情。
この3つが絶妙にまとまっています。
そんなに長い本じゃないんですよ。
なんで1冊に収まっているのか、いまだに不思議です。

あ、そうそう。YA向けの大きな活字、大変読みやすくて良いです。
小さい活字が読めるようになったら大人だなとか思ってましたが
そんな大人の期間は速攻で折り返しになりましたね。
ローガン万歳。

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