リアルタイムでアニメ遊戯王の2作目を見ていた時は、あまりピンとこなくて途中で挫折したんですが
それから数年後、再放送で改めてGXを見た時に「何だこの面白い話は!」と驚きましてね。
デュエルは勝負であり、勝者と敗者、強者と弱者が生まれるわけですが
登場キャラクターがそれぞれに身を置きながらデュエルと自分との関わり方、デュエルを通して自分の存在を確かにしていく話でして
ジュブナイルですよね。遊戯王GXってジュブナイルだったのかと。
この本を読みながらそんなことを思い出しました。
泣き虫しょったんの奇跡
将棋の本なのでデュエルに例えるのは物議を醸しそうですが
将棋が楽しい、将棋大好きだった少年が、奨励会に入って、指したい手ではなく勝つための将棋を指すようになり、再び「指したい手を指す」という心境に至るところとか
純粋にデュエル大好き少年だった十代が、紆余曲折を経て最後にやっぱり「楽しいデュエルだった」と言うのとものすごく被って見えるんですよね。
こんな少年漫画のような展開があるのかと、一気に読み切ってしまいました。
映画化待ったなしと思ったらやっぱり映画化もされていたようです。
泣き虫しょったんの奇跡は、26歳の年齢制限で奨励会を退会となった著者が、アマチュア将棋で活躍し、対プロ戦で好成績をおさめたことから
将棋連盟にプロ編入の嘆願書を送り
61年ぶり、戦後としては初のアマチュアからプロ棋士となった瀬川晶司六段の物語です。
小学生の時、瀬川氏は恩師と出会うのですが
恩師も瀬川氏と同じく、一度は教師の夢を諦めたものの、諦めきれずに35歳で教師の夢を叶えた先生。
それまで自分らしさを持てなかった瀬川氏が、恩師に褒められることで自分を見つける話は感動ひとしおです。
1章から泣かせに来ている。
アマチュア大会で優勝して、奨励会に入会。
そこで「勝つための指し方」があることを知り、勝つために将棋を指すようになってゆきます。
が、年齢制限の壁も見えてきて逆にどんどん勝てなくなっていき、
奨励会を退会し、将棋から離れるものの、
やっぱり将棋からは離れられずにアマチュア大会に出て、改めて将棋が好きで、指したい手を指すために将棋をやっているのだと感じる流れがもう完全に少年漫画の世界です。
プロ編入は瀬川氏だけの特例ではなく、瀬川氏の行動は将棋界に「プロ編入制度」自体を生み出しました。
それでもやっぱり瀬川氏は勝者側の人で、
作中、「プロ間違いなし」と称された才能がちらっと登場するのですが
その才能は三段リーグを抜けることができず、制度ができた後のプロ編入試験も越えられておりません。
そしてそういう才能が本になることは滅多に無いわけで…
諦めなければ、夢は叶う。という言葉は
叶えた人しか言えないのだと改めて思いますね。
人生ってしんどい。
それでもこの手の話はどうしても惹かれてしまいますよね。
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