2023年10月3日火曜日

「容疑者Xの献身」がそこそこ好きな人におすすめしたいインド映画版「容疑者X」

探偵ガリレオシリーズの1作目で直木賞受賞作でもある「容疑者Xの献身」がインド映画になりました。「容疑者X」として、現在Netflixにて配信中です。


インド映画というと歌って踊るイメージが先行しがちですが、「容疑者X」はしっかりしたスリラーで
原作の雰囲気が実に見事に再現されているので、
原作がそこそこ好きな人におすすめしたい作品になっております。

……はい、そこそこ好きな人に。
何でかと言いますと、2つの改変ポイントがあるからなんですね。

その①登場人物のスリム化

キャラクターが増えればそれだけ見せ場やセリフを用意しなければならず、尺を取られるので
登場人物は少ないほうが本筋に集中できます。
「容疑者X」は、数学者、ヒロイン、刑事の3人をメインに絞ることで、関係性も把握しやすいし内面の描写も丁寧にできているかと。

…で、上にも書きましたが数学者、ヒロイン、刑事なので、探偵が消えております。
「探偵ガリレオ」というシリーズの根幹がぶっ壊れている。
数学者と昔なじみ、有能な推理役、ヒロインに惚れる役をすべて刑事が兼ねており
刑事一人でガリレオ&草薙&工藤の3人分の役割を担っています。

この改変によって、数学者の数少ない友人が敵としてやってきて、ヒロインと数学者は共闘するはずなのに彼女ときたら刑事と楽しそうに…と、ドロドロの粘度が高まっている気がしますので個人的には好きな改変ですね。

その②ストーリーの改変

そう、ストーリーが違うんですよ。
私は専門家ではないので個人の勝手な意見ですが、インドと日本はちょっと倫理観が違う部分があるのかな?と思っております。
例えば「RRR」で総督邸に猛獣を放ち多数の死傷者を出したビームが「俺は何も悪いことはしていない!」と言ってるのとか
相手が絶対悪ならボコすのはセーフなのかな?と思う場面がちらりと。
現実の話ではなく映画の中の話ね。
作中で罪を犯したら”清算”されないと、ちょっとしこりが残ってしまうので、この映画でもちょっとしこりが残った気はします。

インド版には象徴的なセリフが出てきます。
「あらゆる問題は、自力で解くか、誰かが導いた答えを受け入れるかの2択だ。」
物語冒頭で、自力で解いたと思った問題が先を越され、他人の回答を受け入れる側に回らざるを得ず絶望したことを考えると
インド版は石神視点のダークハッピーエンドとして美しくまとまっているんだなと思います。
ラージャマウリ監督以外も良いですよ。インド映画。

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