2020年1月19日日曜日

ザ・クラウンS3感想その2 思い描いていたものと着地点は違う

人間は、ある一定の年齢に達すると、自分のやってきたことを振り返る。
そして「何者にもなれなない」自分を目の当たりにして失望したりしちゃうんですよね。

子供の頃、世の中の全ては大人が回していたのですが
まずオリンピック選手が同年代になり
アイドルが同年代になり
スポーツ選手が同年代になり
話題の会社社長が同年代になり
気が付けば何もできないまま、あとは老いを待つだけという虚しい状態になっている自分に気づいてしまう。

この現象、中二病ならぬ中年病みたいな名前ないのかな?と思ったら
中年の危機」という名前がついているようです。
山田ズーニーさんの本にも「働き始めて17年目にやってくる2回目の思春期」の話があり
人生一区切りついたところでふと路頭に迷ってしまうのは誰にもある事なんですかね。

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ザ・クラウンS3e7はフィリップに訪れる中年の危機の話。
アポロ11号の月面着陸が世界中でニュースになり
宇宙への冒険を成し遂げた飛行士3人を見て「中年の危機」を発症したフィリップ。

生まれながらの王族であるフィリップですらそう感じるとは
下級国民なおさら肩身が狭いです。

面白いのは、同じ症状に罹患した中年神父の集いが開催されていて
フィリップはそこに誘われるんですが
フィリップは彼らの事を、それはもうめちゃくちゃに批判するんですよね。
「悩んでないでとにかく行動しろ」と上からアドバイス付きで。

無自覚にやっているのか、自分を投影しての発言なのか
そのあたりは推測するしかないですが
他人の悩みはちっぽけでくだらなく、すぐ解決できそうに見え、
自分の悩みは具体化・言語化するのが難しいというのが
実によく描かれています。


かつて人類が憧れた月、
そこに到着してみると、そこには女神ディアナもかぐや姫も、ウサギすらおらず、暗闇と砂地が広がっていた。
凄い冒険を成し遂げた男たちだと期待して会ってみると、思ってたのと違って失望した。
20歳は大人だと思っていたけれど、いざ成人してみると精神的にそんなに成長してなかった。

理想は輝いて見えるけど、到達してみると現実が見えてしまう
ということが、実に見事にまとめられた回でした。

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