子供の頃、素直であることが良しとされておりました。
年齢にかかわらず素直であることはとても重要な要素ですが、今思い返してみると、子供の頃に良しとされていた素直って、従順さだったよな。と思うわけです。
つまり親や先生のいう事に疑問も持たずに唯々諾々と従う事を「素直で良い子」と評されたのであって
自分の内面に正直であることも素直の一面のはずなのに、そっちは「我が強い」などとマイナスに評価されていたなと。
他人にとっては黙って言う事きいてくれる人が楽で都合が良いですからね。
私のように猜疑心が強く、二言目には「なんで?」が出て来る子供は「可愛くない」「減らず口を叩く」などと言われ放題でした。まあ説明コストがかかるので嫌だという気持ちは理解できます。
映画「花嫁はどこへ?」は、満員電車で二人の花嫁が間違えられるところから始まる物語なのですが
その花嫁のひとり、プールがまさにそんな従順な女性です。
プールは夫の勘違いにより電車に置き去りにされ、見知らぬ駅でひとりぼっちになってしまいます。
嫁ぎ先の村の名前も知らない、育った村にも帰れない、
事前に言われるがまま貴金属を夫に預け、警察は怖いぞと言われるとそれを信じて警察にも行かない。
世間をよく知らず、自力で打開する力も持たない人が駅のホームに残されて、一体どうなってしまうのか……?
一方、間違えられたもう一人の花嫁、ジャヤ。
彼女は偽名を名乗り、教えた電話番号もでたらめ、そして何やら怪しい動きをしており……?
目的は一体何なのか?
ジャヤについてはぜひ劇場でと言いたいですね。
よい映画に出会えたなと本当に思います。
物語の舞台は2001年のインド。
合理性の無い、抑圧のための慣習が女性たちを縛っているのですが
この映画、慣習が非合理であると見せるのがとても上手だと思います。
そもそも事の発端も顔を隠すベールのせいだし
捜索を依頼しているのに顔もわからないという不便さ。
そういった慣習から解放されることで物語が解決に向かう流れがとても綺麗に描かれていると思います。
男性を露悪的に表現していない(物語上ヴィランに相当する人は居る)のも良いですね。
個人的に、そして全体として人気が高そうなのが
プールを助けてくれるマンジュおばさん。
彼女は一人で生きる女性として登場するので、私としても近親感というか…おばさんほど立派な考えは持てていませんが
プールの対極にいるはずなのに、プールの考えを否定しないんですよね。
「結婚なんかやめとけ」とか「お前の夫もこうなるぞ」とか言わない。
つい否定的な言葉が出て来る私としては、このあたりもとても見習いたいものです。
「花嫁はどこへ?」は、もう2~3回は映画館で観たいですね。観ると思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿