2021年12月7日火曜日

映画「ジョジョ・ラビット」が面白かった話

ディズニープラスで良かった映画はまとめて書こうかと思ったんですが
「ジョジョ・ラビット」がぶっちぎりで良かったんですよ。感想書かずには居られないほど良かったんですよ。興味ない人は読み飛ばすからいいよね。


ってことで。
ナチスに憧れる主人公のジョジョが、ある日母親がこっそり家に匿っていたユダヤ人の少女と出会って人生が変わってしまうという、半分ボーイ・ミーツ・ガール、半分は戦争映画という感じでしょうか。

とはいえ10歳の少年目線で話が進むので、戦争の悲惨で非人道的な面が排除され、ややコミカルに描かれているのですが
個人的には新しい貶し方だなと感じました。
ナチスを絶対的で強大な悪として描いてしまうと、それはそれで憧れる人も出るようですし、
10才児が憧れるヒーローなのだと定義することで、その価値すら無いと言いたいのではないかなと。

実際、ジョジョが想像した悪のユダヤ人像…ツノが生えているとか、逆さまになって眠るとか…そういったことを、シンパの大人は喜んで受け入れるんですね。
それは子供の考えを微笑ましく受け入れているようにも見えますけど、誰も「ユダヤ人が迫害されるべき正しい理由」を話そうとしないんですね。そんなものは無いから。
10才児が考える悪の怪人像を一緒になって喜んだり、真面目にマインドコントロールができると信じていたり、
やっていることが子供と一緒。

いじめられる側にも原因がある、という言葉を聞きますが
その「原因」なんてこんなものだなって。
いじめる側が正当性を得るために適当に考えたものに過ぎません。仮に原因なるものがあったとしていじめていいなんてこともないですし。
ラストで、その悪の怪人役がユダヤ人からロシア人に一瞬で変わるんですが
このタゲ変更の速さもイジメではありがちで、実に子供っぽい。
昨日まで信じていたアンチユダヤ人言説は綺麗サッパリ消えてしまいました。

やられた側の傷は一生消えないですし
現実にはいじめなんていうレベルでは済まされないものなのですが
誰かが話す怪人像に踊らされるのはこんなに滑稽なのだと見せられているようでした。

ジョジョは臆病との設定ですが、同調圧力に負けずに、その後どうなるかも想像できていただろうにウサギを逃がしたし
一人ぼっちになるとわかっていても好きな人を見送る覚悟もあるし
臆病って何なんでしょうね、

で、ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイヴィス君がいい表情するんですよ。ラスト付近はエンドレスで観たいくらい良かった。

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