Netflixの悪魔城ドラキュラが大変おもしろいです。
悪魔城ドラキュラシリーズの主人公はご存知ベルモンドなんですが
シーズン2から登場した吸血鬼サイドにいる人間二人、アイザックとヘクターの物語のほうが俄然面白く、シーズン3では特にベルモンドさん影が薄いです。
アイザックもヘクターも、どちらも人間から拒絶された経験の持ち主、
元奴隷のアイザックは元主人からひどい折檻を受けていたし、
ヘクターは親から嫌われていた様子。
でも二人の性格は全く違っていて、ドラキュラを新たな主と決めたらドラキュラ様一筋のアイザックに対し、
ヘクターは賢いんだけど主体性が無くて
ドラキュラが筋の通ったことを言えばドラキュラにフラフラ、
カーミラが合理的な発言をすればカーミラにフラフラ、
それで結局「影響されやすい」と見抜いたカーミラに良いように使われ見事な転落人生を歩むわけなんですが
この時のカーミラの手腕が凄くてね。
最初はドラキュラの将軍としてヘクターに敬意を払うのに、
ヘクターが自分の作戦に同意すると立場が逆転、
「裏切ったんだからもう戻れない」を脅し文句にまずは部下扱い。
敗戦がほぼ確定するとヘクターを殴る蹴るで反抗心を削ぎ、鎖で引きずって牢屋に入れて家畜以下の扱いに。
そんなどん底の時にヘクターの前に可愛い女の子が現れるんですよ。
こんなに可愛くて可憐な子が自分に敵意を向けるわけない。
人はなぜそう思ってしまうんでしょうね。
そしてこの子、口がうまくて
へし折られたヘクターのプライドを巧みに回復させ、「あなたが今生きているのはカーミラのおかげ」と洗脳していくんですよね
しおらしい顔で「明日の夜も会える?」なんて聞かれて「ああ」と何も考えてなさげに即答するヘクター。
ヘクターのバカ!意気地なし!何回騙されれば目が覚めるの!!
でも仕方ないよねーこんなか弱そうで優しそうで可愛い子が、まさかまさかビジネスでやってるなんて思いもしないもんねー。
地獄の中で垂らされた蜘蛛の糸をぷっつり切られてさらに絶望に叩き落されるヘクターさんが見れるのか、それともまさか本当に救いがあるのか、ワクワクが止まらない!
一方アイザックは、水を飲めばチンピラに絡まれ、
店に入って贈り物を貰い、店から出ては兵士に追い立てられ
人間は愚かだ→人間も捨てたもんじゃない→やっぱり愚かだ
と思考をくるくる返しています。
そこにとある船長が登場するんですが、この船長、すごく良いこと言うんですよ。
人間の男が贈り物をくれ、冗談を言った。なのにアンタが鮮明に覚えているのは警備隊が街から追い出そうとしたことだった。
嫌なことはインパクトも強いし記憶に残りやすいわけですが
ひとつの嫌なことで人間全てを悪とすることを咎めているわけです。
でもアイザックが追い立てられたのは事実。
そういった残虐性を否定するのか?と聞かれ、否定はしないと答えてさらに言う。
人間は残虐だ、でも他人に贈り物もするし、冗談も言う。
人間を皆殺しにすれば残虐性は消えるが、優しさも消える。贈り物も、冗談も消えてしまう。
アイザックの復讐心を受け止め、アイザックに対して酷い仕打ちをした人は罰を受けるべきだと肯定したうえで人類殲滅については「アンタは優れているから人間に優しさを教えられるはず」と才能を褒めつつ誘導する。
救いようのない悪党を一人用意して、
悪事を全てそいつのせいにして、骨のある他のヴィランは騙されたとか操られたとかにしておいて、実は良い人でした。悪人は消しましょう。
という筋書きでは無いんですよね。
好き。そういうの好き。
むしろベルモンドが吸血鬼と戦っている理由のほうが深堀りされてなくて、特にシーズン3前半は何と戦っているのかさえ不明。
後々のシーズンで語られるかしらね。
ヘクターとアイザックの話を書き始めたら長くなったので続きはまた後日。
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