例えば『容疑者X』の改変とか、良かったと思ってますよ。
でも、改変歓迎、とまで言うつもりは全くありませんし、原作に居ない婚約者とか出てくると「はい来たー、恋愛要素ゴリ押しきたー、うんざりだー」くらいは思いますよね。
なんなら原作は上条と東明のBLすら疑っているので、上条が結婚というのがすでに解釈違いなわけですよ。
というわけで、原作に居ない”上条桂介の婚約者”が追加された、映画版『盤上の向日葵』ですよ。

結論から言うと、めちゃくちゃ良かったです。
子役の子演技うますぎでしょう!
個人的にはこの映画、原作を読んだあとのほうが楽しめる気がします。
以下ネタバレ感想を
小説の映画化で一番不安なのは尺なのですが、『盤上の向日葵』では捜査パートをダイナミックに省略して、回想をうまく使っているし
映像で説明するのが上手なので、上条の父親を一切出さずに育児ネグレクトと虐待の説明が済んでたりします。
なので話のテンポが良く、原作からストーリーが漏れている感じはしませんでした。
原作は上条と東明のBLなどと上で書いておりますが、
原作では東明のろくでもない生き方にどうしても付き合ってしまう上条、という感じがどうにもしたんですよね。
でも映画版は、東明は上条の分身として表現されているように思えました。
上条がプロに挑む時も東明の得意戦法を使ったりしているし。
親が毒親で、環境がクソで、それでも将棋を指している時だけは生きていられたと、二人はその点で同じだったわけですね。
恵まれない環境に居た東明が死に場所として選ぶのが、唯一「人間らしい生活をした」場所、
それが女性と暮らした場所、家に帰ったら家族がいて、ご飯と風呂のある日々だったと語られるのですが
恋愛要素ゴリ押しと思われた婚約者は、「人間らしい生活」を象徴するものだったのね〜〜と、ここでようやく納得できました。
婚約者に対して上条は、自分の父親は唐沢だと語るのも良かったですね。
原作だと唐沢が一生懸命努力したのに、上条はそれらを全部蹴って、大人になって地位と金を手に入れてからも東明に引っ張られ、唐沢が報われないし、だから私にBLを疑われるんだぞという印象がありましたが
映画版だと唐沢が「人間らしいほうの父親」で、上条が考える人間らしい就職先を選んで、地位が無くなっているので毒親が人間らしさをぶち壊しに来るのも納得の行く展開だったなと思います。
で、ラストの改変ですよ。
NHK版といい、映像だとアレ禁止なんですかね?
まあ小説版でも明確にアレしたとは書かれていなかった気がしますが
映画版では明確に向日葵から背を向けて、でも警察を見たわけでもなく、視点が対局者の壬生六冠に移るんですよね。
アレさせないで生かすのは、ペナルティを受けさせるためなのかと思っていましたが
刑事へのピントが合ってないところをみると罪を償う気はあんまり無さそう。
じゃあなぜ改変したのよ〜〜
そこだけちょっと分からないかも。
あと『盤上の向日葵』と言いながら盤上には一切向日葵が咲かない『盤上の向日葵』でありました。
邦画、面白いですね。
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